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日吉と稲川淳二

2010.07.04.Sun.22:48
 日吉若は怪談に目がない。無類の怪談好きだ。

 そんな彼のささやかな夢は、毎年クラブチッタで10月に開催される『稲川淳二の怪談ナイト(深夜開催)』に参加する事である。未成年の彼には、深夜1時より開演のこの怪談ナイトに参加をするのは不可能だ。稲川淳二のツアースケジュールを眺めては、ギリリと奥歯をかみ締める日吉だった。

 もちろん、怪談ナイトは10月だけでなく、1年を通して稲川淳二が各地を行脚しているツアーなのだが、どうせなら深夜からどっぷりと稲川ワールドにつかってみたいと思うのが、人間の、ひいては稲川ファンの心情というものではなかろうか。

 ところで、稲川淳二といえば、霊感タレントとして大変有名な御仁だ。幼き頃より、日吉は稲川淳二の怪談ビデオなどを見て育った、純粋培養の稲川マニアである。稲川淳二の喋り方を真似させれば右に出るものはいない――日吉は、そう自負している。

 彼の霊感の有無はこの際問題ではない。その独特――やや早口気味――の語り口は、怪談大好き幽霊大好きな少年の心を鷲掴みにした。たまに早口が過ぎてなにを言っているかわからないこともあったが、聞き取れれば稲川淳二の話はとても……面白いのである。そして、更に言えば、話の山場に差し掛かるとともに、楽しくも恐ろしげに変化していく稲川淳二の表情を見るのが、日吉は好きだった。あのギョロリと見開かれた稲川淳二の目! その目を見るたびに、人間世界とは別世界に足を踏み入れてしまったのではないかと、日吉は思うのである。

 ――映像を通してこれだけの強い印象を与える稲川淳二……。いずれ必ず生の稲川淳二を見てやるぜ。

 などと、日吉は心に強く誓うのだった。
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